新しく買った 14インチの MacBook Pro で BFD3 が意図通りに動いてないことがわかったので、今回はそのことについて書いてみます。
この記事で解消を目指す問題は下記の2つです。
- inMusic アカウントへのログインを求められ続ける
- BFD2 付属のライブラリが使えない
どちらも解消というよりは、回避策という方が近いですが、なんとか使えるところまで持って行けたのでご参考まで。
直面した問題
macOS 12 Monterey / M1 MacBook Pro に inMusic版 BFD3.4 をインストールしたところ、下記の 2つの問題に直面しました。
- inMusic アカウントへのログインを求められ続ける
- BFD2 付属のライブラリが使えない
もう少し細かく問題を掘り下げます。
inMusic アカウントへのログインを求められ続ける
非常に説明が難しい現象なのですが、スタンドアローン(と Ableton Live)で使える状態だと Cubase から呼び出そうとするとエラーになり、Cubase で使える状態にするとスタンドアローンがエラーで使えなくなる、という感じの事象です。
前回のブログを書いた時点での状況
よく分からない状況だと思うので、インストール手順とエラーの状況を整理したいと思います。
- BFD License Manager インストール。
- License Manager を使って BFD3 をインストール。
- スタンドアローン版を起動すると inMusic アカウントへのログインを求められる。
- License Manager を立ち上げて inMusic アカウントにログインしてもエラーが解消しない。
- License Manager を再インストール
- 再度 License Manager から inMusic アカウントにログインし、BFD3 などをオーソライズ。
- スタンドアローン版が動作することを確認。
- Cubase から呼び出すとライセンスエラーが発生。
という感じ。
ちなみに、エラーの内容は下記のようなものです。
メッセージの内容としては下記の様な感じ。
単純に License Manager で inMusic アカウントにログインしてないから BFD3 が無効になってるというもの。
BFD3 has been disabled because You are not logged into your inMusic account. Please run the BFD License Manager
このメッセージ自体は見慣れたものなので、指示に従って「Launch License Manager」から License Manager 立ち上げます。
こんな感じで、inMusic アカウントにログインを求められるので、「Login via browser」をクリックして、立ち上がったブラウザで inMusic アカウントにログインします。
ログインするとオーソライズが必要な製品がリストアップされるので、「Authorize」ボタンをクリック。
で、こんな感じで Authorized な状態になります。
通常であれば、この状態で BFD3 に戻るとエラーメッセージが消えて使える様になるのですが、今回の問題は License Manager 上では Authorized となっているのにも関わらず BFD3 上のメッセージが消えないというものです。
似た問題は Media Integration のナレッジベースでも触れられており、License Manager の更新や、ログアウト/ログイン、などが紹介されています。
BFD3 has been disabled because You are not logged into inMusic account が表示され操作できない
https://support.minet.jp/portal/ja/kb/articles/bfd3-has-been-disabled-because-you-are-not-logged-into-inmusic-account
という訳で、まずは License Manager を更新してみました。
すると、再度 Authorize を求められたので指示に従って作業していくと、無事にエラーメッセージが消え、BFD3 が使える状態になりました!
っと、いうのが先日のブログを書いた時点での状況です。
Cubase で使えないことが発覚
その後 Cubase から呼び出してみると「BFD3 has been disabled because…」のメッセージが表示され、今度はライセンスマネージャーを再インストールしても、ログインし直しても、オーソライズし直しても改善しない状態になってしまいました。
こんな感じで、長くなりましたが
スタンドアローンでは使えるが、Cubase からプラグインとして読み込もうとしたときに inMusic アカウントへのログインを求めるメッセージが表示されて使えない。
というのが追加で発覚した問題です。
ちなみに「プラグインとして使えない」訳ではなく、Ableton Live 11 から読み込むことはできます。
しっかりと覚えていないのですが、BFD3 を最初にインストールした時点では Cubase で使えたような気がするんですよね。
Cubase で OK、スタンドアローンで確認したらエラー、LMアプデで解決、みたいな流れだった様な気がします。
後ほど詳しく書きますが、結果的にこの問題は License Manager のバージョンと関連しているようで、BFD3 を最初にインストールした時点では Cubase で使える状態だった可能性が高いです。
その後、スタンドアローンで動かないことに気が付き License Manger を再インストールしたことで、LM のバージョンが変わりスタンドアローンや Live からは使えるが Cubase ではエラーとなる、という状況になったのかなと。
BFD2 付属のライブラリが使えない
これは BFD3.4 に関して言えば、M1 とか Monterey とか関係なく、元からそういう挙動なのですが、inMusic版になった時点で BFD2 に付属していたコンテンツは使えなくなりました。
より厳密にいうと、コンテンツを登録することはできるのですが、ライセンスが通らずに使えないという感じ。
FXpansion 版の BFD3 v3.3 の頃は BFD2 のコンテンツが普通に使えていたので、古い Mac で3.4 にアップデートした時点で直面した問題ですが、古い Mac には BFD2 が入っており、やろうと思えばそっちを使えばよかったのであまり真剣に考えていませんでした。が、新しい MacBook Pro には BFD2 を入れることが難しそうなので、どうしようかなと。
BFD2 ユーザーは London Sessions がもらえるらしい
ちなみに、この事と関係があるかは不明ですが、 BFD2 ユーザーは London Sessions Expansion Pack が貰えるっぽいです。
BFD3ユーザー様でBFD1またはBFD2をお持ちのお客様には製品に対応する下記拡張ライブラリがinMusicより提供されます。
BFD製品のアカウント移行方法 〜 FXpansionからinMusicへ
BFD1 ==> BFD Eldorado
BFD2 ==> BFD London Sessions
London Session が BFD2 付属のコンテンツを網羅しているのかは分かりません。
回避策
inMusic アカウントへのログイン要求の回避策
まずは、BFD3.4 を立ち上げたときに inMusic アカウントへのログインを求められる問題。
アプリケーション毎に対応する License Manager のバージョンが違う
この問題は使用するアプリケーションと License Manager のバージョンの組み合わせで発生します。
License Manager | 3.0.5.2 | 3.0.5.3 |
---|---|---|
スタンドアローン | ✕ | ○ |
Ableton Live | ✕ | ○ |
Cubase | ○ | ✕ |
Cubase は License Manager のバージョンが 3.0.5.2 であれば使えるのですが、逆にスタンドアローンと Live では使えなくなり、3.0.5.3 に上げればスタンドアローンと Live は使える様になりますが、Cubase では使えなくなるといった感じ。
私のインストールの手順と、その時点での License Manager のバージョンを照らし合わせると下記の様な感じになります。
手順 | Ver. | SA/Live | Cubase | |
---|---|---|---|---|
1 | License Manager インストール | 3.0.5.3 | ||
2 | BFD3 v3.4.3.7 をインストール | 3.0.5.2 | ✕ | (○) |
3 | License Manager 再インストール | 3.0.5.3 | ○ | ✕ |
現時点での License Manager の最新版は 3.0.5.3 なので、普通にダウンロードページからダウンロードされるバージョンは 3.0.5.3 ですが、BFD3.4 をインストールすると LM のバージョンが 3.0.5.2 になります。
おそらく私はこの時点で Cubase での動作確認を行い、その後スタンドアローンで使おうとしてエラーに直面したのではないかと。
そこで、LM を再インストールし、結果的に 3.0.5.3 になったことで スタンドアローンと Ableton Live ではエラーが解消したものの、Cubase で使えなくなったという状況だったのかなと。
License Manager を 2バージョン入れて回避
というわけで、試しに LM を 2つ入れてみました。
これは特に何も特別なことをしなくても簡単にできて、BFD3 v3.4.3.7 をインストールして LM のバージョンが 3.0.5.2 になっている状況で、LM 3.0.5.3 をインストールする際に「置き換える」じゃなくて「両方とも残す」を選択するだけで可能です。
これで BFD License Manager.app
(3.0.5.2) と BFD License Manager 2.app
(3.0.5.3) 二つの LM がアプリケーションフォルダに入ります。
が、これだけではダメで、使用するアプリケーションに応じて適切なバージョンの LM でオーソライズされた状態にしてあげないとダメです。
例えば、Cubase で使おうとしてエラーが出た場合には、3.0.5.2 の LM を立ち上げて inMusic アカウントにログインし、Status が Authorized になっている必要があります。
また、LM は一つのバージョンでしかオーソライズ状態にできないので、3.0.5.2 でオーソライズすると 3.0.5.3 では Status が Not authorized になってしまいます。
つまり、Ableton Live やスタンドアローンで使う場合には 3.0.5.3 の LM を起動してオーソライズする訳ですが、その時点で 3.0.5.2 ではオーソライズされていない状態になってしまうので、Cubase から呼び出す場合には再度 3.0.5.2 の LM を立ち上げてオーソライズする必要があります。
解決策として合ってるのかどうかわからないけど、License Managerを二つ入れてみたところ、スタンドアローン/LiveでもCubaseでもどちらでもBFD 3.4が使える状態にはできた。
— 道草 (@MichikusaG) February 4, 2022
が、対応するLMでAuthorizeしないとダメという非常に面倒な状況ではあるので、これはブログネタだなぁ。
非常にめんどい。 pic.twitter.com/uy9iSp0tur
特定の DAW やスタンドアローンでしか使わない、などであればそのアプリに対応している License Manager でオーソライズすればOKだと思いますが、Cubase と Ableton Live の両方で使う場合にはこれくらいしか回避策がない状況なのかなと。
非常に面倒ですが・・・
今後のアップデートのことを考えると、3.0.5.3 を BFD License Manager.app
として使えた方が良いかなと思うので、私は 3.0.5.2 の方をリネームして BFD License Manager 3.0.5.2.app
として使っています。
BFD2 付属のコンテンツを BFD3 で使う方法
FXpansion版も入れてしまう
試しに FXpansion版の BFD3 (v3.3.1.33) を入れてみたらどうかなと試してみたところ、一応 M1/Monterey 上の Mac でも動きそうだったので、BFD License Manager と同じように BFD3 も 2バージョン入れてみました。
結論としては、スタンドアローンは共存できませんが、VSTはバージョン毎に入れることができそうです。
手順としては下記の様な感じ。
- FXpansion のサイトから BFD3 V. 3.3.1.33 をダウンロードしてインストール
- FXpansion版の
.app
と.vst
をリネーム
下記のファイルをBFD fx
とかにリネームする- /Library/Audio/Plug-Ins/VST/BFD3.vst
- /Applications/BFD3.app (不要かも)
- inMusic版の BFD3 v3.4 をインストール
コンテンツ自体はインストーラーからは入れることができなかったので、以前の Mac で使っていた外付けの SSD からコピーしてきました。
私の場合、inMusic版の BFD3 のコンテンツを /Users/Shared/BFD Drums
に入れているので、BFD2 などの FXpansion版でのみ利用可能なコンテンツは /Users/Shared/FXpansion
にコピーしました。
こんな感じで、app も vst も 2バージョン入れることができました。
が、BFD3 fx.app を起動すると下記の様なエラーが出て使えません。
一応、このエラーはを回避するには /Library/Audio/Plug-Ins/VST/BFD3 fx.vst
を BFD3.vst
に戻すと解消します。
が、そうすると今度は inMusic版の BFD3.app が起動しなくなるので、スタンドアローンアプリケーションに関してはどちらか一方しか使えないと思った方が良さそうです。
ちなみに、BFD3.vst がない状態で起動するとこんな感じのエラーになるので、 vst ファイルに依存するのかもですね。
そして読み込むvstファイルが固定になってる、という感じでしょうか。
スタンドアローンはダメですが、VST プラグインは共存可能な様なので、BFD2 のコンテンツを使いたい場合には v3.3 を起動して使えば良さそうです。
ちなみに、同じ環境でinMusic版のBFD3.4も同居。
— 道草 (@MichikusaG) February 4, 2022
上BFD3.4、下BFD3.3。
意味があるかどうかはあれですがw
これでBFD2に付いてきたキットとかプリセットも引き続きBFD3で使えそう。
少なくとも今のところは・・・ pic.twitter.com/D2WSxeGgWh
Preset や Kit、Groove が表示されない時
これも毎回分からなくなるのですが、BFD2 系のコンテンツの読み込みはできたのに、BFD3 のメニュー上に出てこない問題。
どうやら読み込むパスが違うらしく、コンテンツのデータを新しい Mac にコピーしただけではダメらしいです。
というわけで、古い Mac から /Library/Application Support/FXpansion/BFD2/System
をコピーして新しい Mac の同じところにコピーして、読み込んであげます。
左下の Search Folder… を押して /Library/Application Support/FXpansion/BFD2/System
を選択してあげればOK。
BFD2 のコンテンツが期待通り使える様になりました。
BFD3 v3.4 でも 同じ設定が必要になる場合も
ちなみに、この話は inMusic版の BFD3 v3.4 の場合でも似た様な感じの状況になることがあります。
私は、BFD Percussion という BFD2 の頃から使っている拡張ライブラリがあるのですが、これ自体は inMusic版でも使えて、インストールなども問題なくできるのですがプリセットとキットが普通にインストールしただけだと出てきません。
Media Integration の KB では「Add BFD2 Paths」ボタンで解決する方法が紹介されています。
5.スキャンが完了したら、同画面上の”Add BFD2 Paths”ボタンをクリックします。
BFD 拡張音源のプリセットが表示されない
が、私の環境だと Add BFD2 Paths を使うと、/Library/Application Support/FXpansion/BFD2/System
が追加されてしまい、BFD2 の付属ライブラリまで入ってしまいゴミが増えるので、手動で /Library/Application Support/BFD Drums/BFD2/System
を追加する必要がありました。
やっと期待通りに(使おうと思えば)使える様になったかなと。
まとめ:動いしまえば圧倒的に v3.4 だけど・・・
というわけで M1 かつ Monterey (macOS 12) な MacBook Pro で BFD3 を使う方法について書いて来ましたが、もうちょい inMusic に頑張ってもらいたいなぁっという感じです。
いくらなんでも不安定すぎる。
肝心の使用感ですが、動いてしまえば inMusic版の v3.4 系が圧倒的に快適です。
サクサク動くし、挙動も怪しくない。
使う方法を書いておいてなんですが、v3.3 はかなり挙動が怪しいです。
プラグインの読み込みの時点では特に問題ない様に見えますが、プラグインを外したり、そのプロジェクトを閉じるときに異様に時間がかかります。
固まってるのかと思うくらい時間がかかることもあるので、正直 BFD2 のコンテンツを使う人以外にはあお勧めできないなと。
あと、v3.3 系の場合には Retina に対応してないのか、滲んだような表示になってしまうので使いにくいです。
前にも BFD を使うためには?的な記事を書いてきたような気がしますが、BFD ってそういうアプリというか、使う側に負荷をかけるアプリケーションだなと感じます。
音はすごく良いし、使い勝手も悪くないのですが、セットアップというか安定して稼働させるのが難しい音源だなぁと。
昔は DTM とか DAW 系の機材って、使う人を選ぶというかハードルの高い製品だったこともありますが、今はそういう時代じゃないと思うんですよね。。。
BFD3 が FXpansion から inMusic に移管され v3.4 になった時点でゴタゴタしてましたが、ちょっとこの不安定さというか、行き当たりばったりな対応はなんとかならないのかなぁっと。
BFD2 ユーザーに向けて拡張ライブラリを提供するのは良いですけど、メール(とかフォーラムのDM)とかで連絡してマニュアルでシリアル発行してもらうとか、なんとかならないのかなぁっと。
音は良いだけに、とても残念。
頑張ってください。
ぜひ。
“M1 & Monterey な Mac で BFD3 を使えるようにする” への1件の返信